私の義父はとても漬物が好きな人で、とりわけぬか漬けは大好物でしたね。
義母は来る日も来る日もぬか床をかき回して、美味しいぬか漬けを作ろうと懸命でした。
でも時々二人で旅行に出かけることがあると、ぬか床が腐ってしまって、義母はとても困っていました。
ぬか床って腐るのですね!
義母のようなベテラン主婦でも、ぬか床が腐って残念な思いをした人はいるのです。
ましてや、最近ぬか漬けを始めた人なら、同じ悩みを抱えている人もいるかもしれませんよね。
そこで、ぬか床が腐る原因と、腐ったぬか床の見分け方や上手な保管方法をご紹介しましょう。
ぬか床が腐る原因は意外なアレだった!
ぬか漬けは、乳酸菌発酵をさせて作ったぬか床に、野菜などを漬け込んで作ることはご存知だと思います。
ぬか床は、塩分濃度が6~8%で、ph4.3前後の時が一番良い状態に保てます。
塩分が低いと腐りやすくなるのは、他の漬物でも同じですね。
最近は減塩ブームで減塩控えめの漬物が好まれますが、ぬか床はあまり塩分を控えると腐敗菌が増えて腐りやすくなるので、要注意です。
水を足していなかったとしても、野菜類から染み出た水分が多くなると、塩分濃度は下がるので気を付けないといけないのです。
乳酸菌は、乳酸を大量に作り出してphを下げます。
腐敗菌や病原菌は、中性からアルカリ性を好みます。
乳酸菌が大量にあるところは、酸性が強いので腐敗菌などは住み着けないのですね。
ところが、ぬか床にときどき浮いてくる白い幕のようなものを見たことがあるでしょうか?
これを産膜酵母というのですが、この産幕酵母は乳酸を消費してしまいます。
こうなると、ぬか床は酸性を保てなくなって、カビが生えやすくなるわけなのです。
義母が懸命にぬか床をかき回していたのは、この産幕酵母を減らそうとしていたのですね。
ぬか床に水分が多くなって塩分濃度が低くなると、腐りやすくなるのです。
それに水分が多いと乳酸が増え過ぎ、乳酸菌自体が死んでしまうことがあります。
こうなるとphが急上昇し、腐りやすくなります。
つまり、ぬか床を腐らないようにするには、水分と塩分を適度に保つことがポイントなのです。
ぬか床は冷蔵庫でも腐る?上手な保管方法とは?
最近は、冷蔵庫でも手軽にできる「ぬか床セット」も売っていますね。
ジッパー開閉式で、野菜を入れればすぐにぬか漬けが作れるものです。
私もこのタイプのぬか床で最近ぬか漬けを漬け始めましたが、初心者でも簡単にぬか漬けができるのでとても便利ですよ。
ただ、ぬか床は冷蔵庫なら腐らないかというと、残念ながらそうとも言えません。
現に、義母は大きなタッパーに入れたぬか床を冷蔵庫に入れていました。
でもときどき「ダメになっちゃった。」と言っていましたので…。
ぬか床を上手に保管するには次のようなことに気を付けましょう。
ぬか床は毎日かき混ぜます。
ジッパー入りタイプのぬか床は、毎日かき混ぜなくても大丈夫なものがありますので、パッケージの説明書をチェックしてくださいね。
水分が多くなったら、水抜き器やキッチンペーパーで水分を取り除きます。
1か月に1度ぐらいは新しいぬかを足し、そのぬかの7パーセントの塩も加えて混ぜます。
ぬか床は、密封容器に入れきちんと蓋をしましょう。
冷蔵庫に入れないときは、室温が20度~25度の冷暗所に置きます。
お手入れさえ怠らなければ長く同じぬか床を使えますよ。
ぬか床は腐るとどうなる?腐ったぬか床で漬けたぬか漬けは食べると危険?
ぬか床が腐ると、ふたを開けただけで、ひどい臭いがします。
まるでシンナーのような強烈な臭いがすることもあります。
あまり想像したくないのですが、大量のカビが発生していたり、虫がついているなんてこともありますよ。
そんな状態のぬか床には、腐敗菌やカビ菌が付いています。
その中に入れてあったぬか漬けは、もちろん安全とは言えませんよね。
ですから、腐ったぬか床で漬けたぬか漬けを食べるのは、おすすめできません。
まぁ、臭いので食べる気にはならないと思いますが…
ぬか床が腐った時の見分け方は?
ぬか床は独特のにおいがしますよね。
でも、腐ったぬか床は、普段のにおいとは違うカビが生えたような、シンナーのような強烈な臭いがします。
また、白い色以外の黒や赤い色のカビは、危険なカビです。
カビが生えた場所が少ない時は、その部分だけを取り除き、新しいぬかを足します。
しかし、ぬか全体にカビが付いていたら、全部新しいぬかと取り換えましょう。
腐敗臭がひどい時は、ぬか床を作り直すのが賢明です。
ぬか床は腐る まとめ
ぬか床は腐ることがあります。
水分が多くなって塩分が足りなくなり、ぬか床が酸性を保てなくなることが原因です。
ぬか床を良い状態に保つには、ときどき塩とぬかを足すこと。
毎日かき混ぜて、アルカリ性に傾く原因になる白い産膜酵母を減らすことです。
水気が多くなったら水分を抜き、冷暗所か冷蔵庫に入れて保管するのが、良い状態のぬか床を保つコツです。
ぬか床の手入れ忘れずに、美味しいぬか漬けを十分楽しんでくださいね。